28歳独身社内ニートのブログ

映画やドラマなど、好きなものを紹介します。

あったかいけど切なくて、なんだか悔しくなる。堤監督作品「くちづけ」

 

2013年公開の映画、くちづけ

 

くちづけ

くちづけ

  • 発売日: 2014/10/22
  • メディア: Prime Video
 

 

何かのDVD借りた時に予告で見て気になってて

アマプラでも見れたので鑑賞いたしました。

 

たくさん泣きました。

 

ざっくりあらすじ

舞台は知的障がい者たちの自立支援のためのグループホーム「ひまわり荘」

そこに住み込みで働くためにやってきた元漫画家のいっぽん(竹中直人)と

娘のマコ(貫地谷しほり)の日々を描いた物語です。

 

物語は、行方不明になっていたマコが殺害されたニュースからさかのぼる形ではじまります。

どうしてこの事件が起きたのか?

そもそも、ずっと二人で過ごしてきた

いっぽんとマコはどうしてひまわり荘にきたのか?

 

ひまわり荘での出来事を中心としたほっこりするやりとりがありつつも、

オトナコドモな彼らが向き合わなければならない辛い現実も交えながら

冒頭の事件が起きるまでを描いたお話。

 

ちなみに英題はAngel Homeとのこと。粋ですね。

 

とにかく貫地谷しほりがすごい

この一言に尽きます。

マコを演じる貫地谷しほりがすごすぎる

 

 

f:id:sayumpap:20200606164121p:plain

だめだわ私この写真だけでうるっときてる

なんとなく、私の中で貫地谷しほりって

さばさば女性役のイメージが強かったんですよね。

さばさば助演女優。

あとお団子。ブザービート貫地谷しほり大好きだった。

 

なので今回の役柄がとても意外だったというか。

とにかく、素晴らしかったです。

 

心は7歳のマコちゃん。

とてもピュアですこしおませな性格。

過去のトラウマから男性が苦手なんだけど

(これもいっぽんが施設に頼ってこなかった理由の一つ)

なんでかうーやんには心を開いている。

どころか、ふたりで結婚の約束までしちゃう。

そんなかわいらしい女の子です。

 

ちなみにマコちゃんはおませさんなので

「結婚」をわかってるけど、

うーやんはよくわかってないまま約束しちゃう辺りも

ほっこりしちゃいますよね。

 

前半のマコちゃんは、いっぽん大好きな

おとなしい女の子という感じで

私もなんと言いますか、「ああ、自然だな」

くらいにしか見ていなかったのですが

ラストに向かうにつれてもうすごいんです、

 

圧巻の演技とか、迫真とか、そういう言葉じゃ足りないんです。

いっぽんとずっと一緒だと思っていたのに、一緒にいられなくなる。

それを知ってからの子供らしい嫌という気持ちの感情表現。

でもいっぽんのことも思いやりたい、そんな気持ちの葛藤が

本当に見てる側もぎゅーっとなるくらい伝わってきて。。

 

ただの一般人には語るべきではないと思いますけど

障がいを持った方を演じるのってすごく難しいと思うんですね。

少しでも違和感とか、「演じてる」感が出ちゃうと

演技が下手ということとは別の批判だって生まれかねないし。

 

でも、貫地谷しほりは確実に

マコちゃんとしてそこにいて、戦っていました。

 

 

当たり前ながら、竹中直人がすごい

 

いや、こんなあたりまえ体操なこと

見出しにする必要ないのはわかってるんですけど。

でもやっぱすげーんすよ竹中直人

 

いっぽんはマコちゃんの父親。

「愛情いっぽん」という漫画家として

長万部くんって漫画が大ヒットしましたが、

マコちゃんが生まれて、ほどなくして奥さんが亡くなられてからは

漫画ではなくマコちゃんを選びます。

 

ただ、病気を患ってしまい

マコちゃんを独りぼっちにさせてしまうかもしれない

という不安から、ひまわり荘を訪れるんですね。

 

この映画はいっぽんの子供離れ物語、

みたいな一面も少しあるとおもっているんですが

障がい者を取り巻く辛辣な現状を考えると 

そう簡単にはマコちゃんから離れられないですよね。

 

マコちゃんを一人にしたくない、でも一人にしてしまう。

そんないっぽんの葛藤。また葛藤って言葉使っちゃった。

でもそうなんです。

この映画の登場人物が受け止めないといけない現実って

あまりにも残酷で。受け止めることが難しすぎるんです。

 

それを体現してくれた竹中直人貫地谷しほりに大拍手。

 

 

橋本愛が好き

 

だってかわいいじゃん?

 

 

f:id:sayumpap:20200606170833p:plain

 

ほらかわいい。

橋本愛が出てるとなんか見ちゃう。

引き込まれる。雰囲気がとても好きです。

 

真面目な感想を述べますと、

橋本愛演じるはるかちゃんは

ひまわり荘の主である國村さんの娘、という立ち位置なんですが

彼女とっっってもいい子なんです。

 

ひまわり荘の住人にとって一番の味方は

はるかちゃんだと思う。

彼らと対等に向き合って、

きちんと叱る、きちんと褒める姿は

純粋に学ばせていただきました。

 

これから、ひまわり荘の彼らのような方々に出会ったら

私もはるかちゃんみたいに接したいと思う。

フラットな目線ってやっぱ大切だよね。

 

 

自分の無知さ、無力さに悔しくなるラスト

 

この映画のラストについては

賛否両論があると思うんです。

賛否両論って言い方はしっくりこないな。

この議題に善悪つけられるほど

私は人間が成っていないし、

きっと善悪つける議題じゃない。

 

とにもかくにも

どうしてマコちゃんは死んだのか?

死ななくてはならなかったのか?

ということを考えれば考えるほど、

その理由が悲しくて仕方ないし、

じゃあ自分だったらどうするって考えたところで

なーーーんにもできないんですよね。

 

すごく悔しい。

 

正直知らなかったんですよ、この映画観るまで。

「大人」になってからの彼らの生活を。

あんまり想像してこなかった。

 

冤罪をかけられる方の多くに知的障がい者の方がいること。

浮浪者になってしまう方もいること。

 

ぜーんぜん知らなかったんです。

それがまず恥ずかしい。すみません無知で。

 

じゃあ自分が何をしたら彼らをそういうことから

守ることができるのか?

いい考えが浮かばないんです。悔しい。

 

もしかしたら私が過去に街中で

「なんか危ない人がいる」って思ってしまった人が

彼らのような人だったのかもしれないって思うとこれまた恥ずかしい。

でも警戒心を持つことはこのご時世だと

大切でもあるので何とも難しい。

 

でも、知る機会、考える機会を

この映画に与えてもらったから

今までより、たくさん考えようと思います。

そして自分にできることがあったら動いていきたい。

多分あるはずなんすよ、出来ること。

シンプルに街で出会う人にやさしくするとか

そういうちいさーいことから巡り巡っていくとも思うんです。

 

映画を観ることのよさって

シンプルに面白いからっていうこともあるけど、

自分のリアルな人生では出会えなかったことを

疑似体験できることにあると思っています。

 

この映画は、まさにわたしにとって貴重な体験を

させてくれる作品でした。

 

アマプラ会員だったら無料で観れるし、

ぜひたくさんの人に観てほしいな。

そして一緒に考えましょう。